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和歌山県日高川町【備長炭】
和歌山県日高川町【備長炭】

《YouTube映像》※画像クリック

~備長炭~
名高き炭を守り焼く炎の輝き

彩り豊かな緑が包む山間を、日高川が流れる和歌山県日高川町。

和歌山県日高川町【備長炭】

紀伊国田辺の商人・備中屋長左衛門が、紀州の山に自生する『ウバメガシ』の木で作った炭はいつしか「備長炭」と呼ばれ、現代でも最高級の地位を保っている。


「斜面が削れている場所の右下、薄い緑色の木の隣に生えているのがウバメガシ。炭にするにはこれ以上の木はないと思ってます」


その一方、輸入木材を原料として使ったり、持ち味の強い火力や持続力に乏しい備長炭もあるとのこと。

そこで和歌山県産の天然木が原材料の炭に「紀州備長炭」というブランドを付して守るのが紀州備長炭保存会。








「今、保存会に加盟している職人は30人ほど。製炭師自体が町全体で50人もいないんです。」

若き製炭師・湯上さんは、師匠でもある父親と共に備長炭の文化を受け継ぐ一人。








こうした地場産業を後世に継承するために、町が設立した日高川町製炭研修所。

2台の焼き釜で未来の担い手を育むこの施設で、湯上さんも炭と向き合う日々を過ごしている。









急斜面の山から切り出した無数のウバメガシ。見ればほぼ全ての木に切り込みが入っている。

「木を真っ直ぐにして隙間なく釜に入れることで、焼く本数も増やせる」という知恵だ。









「精錬」と呼ばれる炭作りの後は、釜の中は強烈な赤褐色に染まる。

小さな入口の先に広がる釜の中に木を立てかけたら点火。

木の水分を抜きつつ蒸し焼きにしたら、入口の穴を塞ぐ壁に小さな空気抗を作り炭化させる。

1週間近くかけて炭化を終えた木を更に燃焼させることで、樹液成分が全て抜け出た引き締まった炭になる。








「釜には1回で6トンの原木が入り、1トンの木は120キロくらいの炭になります」という量の炭の釜出しには約11時間を要するという。


肌を刺す熱気を浴びつつ金属製の道具で炭を取り出していると、キンキンと甲高く澄み切った音が響き渡る。








取り出した炭は山積みにされ、仕上げに灰をかけて消火する。うっすら白く染まった炭は白炭と呼ばれ、一度点火すれば持続性が高い特製を持つ。










「自分たち製炭師にとって火は欠かせない存在。1000度は超えていると言われるが、ほぼ毎日向き合っていると『怖い』と思う感覚はないんです」


精錬作業の中で「紫、オレンジ、白、青」へと変化する火を見つめることが、製炭師の大切な仕事。恐れる時間なんてないはず。



森の恵みを熱源に変化させる火と、

時代の変化に向き合う製炭師の仕事に感謝したい。


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