Origine Elements ~元素~
大阪府和泉市【トンボ玉】
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~トンボ玉~
カラーロッドは火の輝きに照らされて
大阪府和泉市の一角に、昭和2年に創業した佐竹ガラス株式会社。
国の登録有形文化財にも指定された工場で、人工真珠づくりをルーツに様々なガラス商品の製造を手がけてきた老舗だ。
「元々、人工真珠は核となるガラス玉にタチウオの鱗を塗って作っていました。それが海に近いここの地場産業になった理由の一つですね」と語るのは二代目の佐竹保彦さん。
現在、佐竹ガラスの主力商品となっているのは、雑貨屋さんで見かけるガラス玉の材料となるカラーロッド。
「暖色はソーダガラスで寒色は鉛ガラスで作る」と、色ごとに原材料の違いがあるそうだ。
珪素や色素などをムラがなくなる調合した原材料は、
この溶解炉の『るつぼ』に投入される。全体が1300℃になるまで12~15時間、ゆっくりと溶解していく。
るつぼに溜まった液体状のガラスは、ボウトウと呼ばれる長い棒に巻きつける。まるで、綿飴を作るように少しずつ固まりが大きくなっていく。「今はステンレス製ですが、昔は鉄製で軍手を二枚重ねをして使っていた」と、保彦さんは自らの手を見つめながら当時を思い起こす。
液体状のガラスを巻き付ける時間は2秒ほど。
るつぼから取り出すと、工場内の外気で冷やされ粘り気のある姿に固まっていく。
るつぼから出したガラスを棒状に整形するのが棒引きの作業。まだ熱いガラスをヤットコで引き伸ばしたら、レンと呼ばれる木製レールの端に引っ掛けて真っ直ぐに引き伸ばす。
素材のコンディションはもちろん、工場内の湿度や温度に合わせて途切れることなく一気に引く姿は、
熟練の職人のなせる技だ。
これをリズムよく一定の長さにカットすれば、カラーロッドの出来上がり。
赤く染まっていたガラスが、温度が下がるに連れてカラフルな色に変化していく。
工場に隣接する工房では、職人さんがカラーロッドをバーナーの火で溶かしとんぼ玉を作っていた。
器用にクルクルと巻きつける技術。
手袋もつけず、火との真剣勝負を楽しんでいるようだ。
「時代の移り変わりに対応すべく、ガラスの用途をどこに持っていくか考えてきた。カラーロッドもその一つ。将来はエクステリアとしての活用にもっと目を向けなければと考えている」
時代の要望に応じて生まれてきたガラス商品は、透明な姿で時代を支えてきた存在。
そんな時代を支えてきた火の輝きと、火と向き合うことで時代を支えてきたガラス商品を作り出してきた技術。
これからも、ガラスと火との良き関係は引き継がれていく。
この炎の先にどんなマリアジュができるのか楽しみだ。
※佐竹ガラス株式会社では、ガラス玉作りのワークショップも開催しています。
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