Origine Elements ~元素~
山梨県道志村【よる森】
《YouTube映像》※画像クリック
~よる森~
静寂の森に灯る、心を写す鏡の火
東京から車で約2時間、丹沢山地と道志山地に挟まれた
山梨県道志村。
Nature Meetingsの河村智行さんが、この地で主催するアウトドアプログラムが「よるの森のハイキング」。参加者が森の中で一昼夜を過ごすことで自分と向き合い、新たな「気づき」や「きっかけ」を作ることを目的に、2012年から続いている。
曇のフィルター越しに陽の光が柔らかく照らす森を、河村さんの案内で歩いてみる。
土に積もった杉やモミの落葉は絨毯のように足元をフカフカと押し返し、山肌から湧き出す水が透き通った音を奏でている。
ほんの僅かな距離を移動しただけでも、五感を通じて伝わる感触や音は変化し、山を染める無数の色と土の香りが新たな顔を見せる。
普段、都会の雑踏で生活している人間にとって、ここは全身で受け止めたくなるものばかりだ。
「子供たちがこのプログラムに参加するときは、親御さんは『遊び方のマニュアルってないの?』と尋ねてきますが、子供たちはそんなことしなくても沢を登ったり、松ぼっくりを投げたりと遊び方を見つけるんです」
自身が子供のような気持ちで山と一体になっているからか、河村さんの笑顔もまた、この大自然のように優しく包んでくれる。
陽が沈み始める頃、河村さんは小さな焚き火台を取り出して灯りの準備を始めた。
燃えやすい乾いた枝や葉、薪を集めて、手慣れた動きで火をつける。
火の熱さや眩しさと向き合い、枝葉や薪が焼ける香りを浴びながら、揺らめく火に引き込まれていく。
そのうちに聞こえてくるのは自分自身の心の声
具体的な悩みのようなものではなく、無意識に生まれる言葉が少しずつ集まってくる。
分身のような言葉を束ねているうちに、眼の前で燃える火が自分の心を写す鏡のような存在だということに気がつく。
『自分の中にある火は、もしかすると自分が思うよりも強く逞しいのかもしれない』
静かな対話が生む心の声は雄弁で、その声が自分自身を励ましてくれる。
火とはそういった存在であることを、このプログラムが教えてくれた。
五感を通じて人間が人間であることを教えてくれる道志村の大自然。
目の前で灯り続ける小さな火に感謝したい。
※よるの森のハイキングは不定期に開催されています。
お申込みや最新情報はウェブサイトをご確認ください。